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 2010/03/11
情報分野の国際的視野を持つ人材育成へ
−東大・京大の情報学系研究者がシンポ−
英語だけで学位を取得できる「G30」で議論

 「情報分野における教育の国際化」をテーマにした講演とパネルディスカッションが3月10日、東京大学本郷キャンパスで開催された。情報処理学会創立50周年記念全国大会の一環として行われたもので、10月から実施を予定している文部科学省の国際化拠点事業「グローバル(G)30」に主眼を置いて、情報分野で英語コースの開設準備を進めている東京大学と京都大学の情報系の研究者が教育の国際化推進にあたっての課題や今後の取り組みについて議論した。

 講演者は、東大大学院情報理工学系研究科副研究科長の萩谷昌己教授、同研究科のフランソワ・ルガル特任講師、京大大学院情報学研究科副研究科長の田中克己教授、同研究科の石田亨教授、同研究科のアダム・ヤトウト特定准教授。

 両大学とも、10月開設を目指して英語のみで学位(修士、博士)を取得できるカリキュラムの整備を進めており、東大は情報理工学英語コースを、G30を「K.Uプロファイル」プロジェクトと位置づけている京大は、手始めとして知能情報学、社会情報学、通信情報システム専攻の3専攻に国際コースを開設する。


○萩谷教授(東大):グローバル研究拠点を目指す

 情報科学技術の分野は国際化が特に顕著な分野で、グローバルな研究コミュニティーは世界中に広がり、数多くの研究拠点でつながっている。国際的な研究拠点は大学だけではなく、マイクロソフトやIBM、グーグルなどのグローバル企業の研究拠点と国境を越えてつながり、最先端の研究開発をしている。G30で目指していることは
・ 東京大学をいかにしてグローバルな研究拠点の1つとして世界的に認めてもらうか
・ 若い研究者がグローバルなコミュニティーに加わり、その中でリーダーシップを発揮する人材をいかに育てていくか

【現状と対策】

 東大の情報理工学系研究科は、コンピュータ科学、数理情報学、システム情報学、電子情報学、知能機械情報学、創造情報学の6専攻がある。教育プログラムは修士課程2年と博士課程3年に分かれ、6専攻で修士課程は400名強、博士課程は200名強で、修士の学生の約半分が博士課程に進学する。留学生の割合は、博士課程28%、修士課程14%。特に修士課程の留学生をもっと増やしていきたい。

 2009年度の外部識者による研究科の外部評価を紹介したい。カーネギーメロン大学のブライアント先生は、「米国では50%か、それ以上が留学生だが、情報理工の留学生30%は、悪い数字ではない」と評価し、それよりも多くなると、日本の教育機関としての役割が薄れると指摘している。また、同大学のフェニング先生は、「入試に頼るのはよくない。海外から来る学生にとって、入試の準備は大きな負担」とし、授業は英語で行うべきで、日本人学生にとっても英語の授業を行うことによって、国際会議や国際的な論文誌等への発表もスムーズにいくとコメントしている。

 現状では、留学生は修士や博士の正規の学生ではなく、外国人研究生という身分で日本語を勉強し、半年か1年後に東大で入学試験を受ける。筆記試験と面接に合格すると正規の大学院生になる。ほとんどの授業は日本語。研究室における研究指導は英語が主体で、修士論文・博士論文は英語を使用している。


○ルガル特任講師(東大):情報理工のHP、わかりやすく一新

 情報理工の英語コースは2010年10月からスタートする。外国人留学生は英語だけの受講で修士、博士課程を修了でき、英語で研究指導も受けられる。優秀な留学生には奨学金を授与する。

【現状と対策】

 英語コース開設に伴い、HPを一新した。6専攻の紹介だけでなく、専任の教授や准教授、講師の研究志向やプロフィルの紹介、国際交流に関する情報など留学生に役に立つ情報や応募方法、入試情報、奨学金、日本での生活など留学生のニーズに重点を置いた情報を提供していく形にリニューアルした。

 6専攻すべてで英語コースを始めるが、私は「通信理論のアルゴリズム的側面」(Algorithmic Aspects of Communication)と「量子計算入門」(Introduction to Quantum Computation)を教える。講義は大学院の基本的なものが中心だが、“Introduction of Reading Age Research”といった、他より進んだトピックの講義も予定している。


○田中教授(京大):情報学研究科の3専攻に国際コース

 京大は、G30のプログラムを「K.Uプロファイル」(Kyoto University Program for Future International Leaders)と呼んでいる。国際コースは英語のみで修了できる修士課程、博士課程、もしくは学部で、今回は工学部の地球工学系に国際コースが設置される。ほとんど大学院で、経営管理、工学、地球環境学、エネルギー科学、生命科学、薬学、情報学、農学研究科など多岐にわたる研究科で国際コースを設置する。中でも情報学研究科はかなり規模が大きい。同様に短期の学生の交流、これは将来、大学院の国際コースに進学してもらう意味もあり、学部レベルから短期インターンシップ等の学生の受け入れを計画している。

【現状と対策】

 情報学の分野は一種の危機感がある。端的に言えば、情報系の博士課程の充足率の問題。一方、英語コースなどを拡充しているEUや中国、韓国、ベトナムのアジア諸国と比べて、日本の大学教育の国際化の遅れを感じている。

 京大の情報学研究科は6専攻(研究室の数では約41〜42程度の規模)で、このうち、社会情報学、知能情報学、通信情報システムの3専攻で国際コースを設置する。各専攻で毎年、修士課程8名、博士課程2名。3専攻トータルで毎年、修士課程24名、博士課程6名の留学生の確保が目標。この国際コースは今年10月入学から始まるが、この準備として、合計6名の外国人教員(1名の教授、5名の准教授)の採用を予定。大変だったのが事務部門で、3名のスタッフを新たに配置したが、学生に対する募集要項等の英文化の整備などで大わらわだった。基本的にこの3専攻のコースは日本語能力を要求しないので、学位はすべて英語のみで取得できる。

 英語の入試ではペーパーテストを廃止し、TOEFL、TOEICのほか、G30のプログラムということで、IELTSというヨーロッパで主流のテストも使える形にした。講義は、@日本語の講義と同じ内容の講義を英語でパラレルに行う、A前期は日本語、後期は英語、B英語と日本語の合体型などを予定。国際コースの設置により、ディグリーの条件を変更するかどうかも検討課題で、研究科では基本的に修了要件は変えないことにしている。

 国際コースで提供する英語の講義を日本人の大学院生に積極性に受講してもらうことも大変意義がある。国際コースで入学した留学生とともに、日本人学生が国際コースの英語の講義をとることについても門戸を開いている。ただ、学部とのリンクをどうするかは懸案事項で、これはまだ手つかずの状態。これから重要なポイントになると考えている。また、2種類の外国人留学生の存在、つまり、G30で入ってくる留学生と、従来の入試で研究生になり、大学院に上がった人たちがいるので、修了要件等は変えない。外国人教員については、基本的に研究指導をやってもらう。研究そのものがキャリアパスで、それを保証する制度に改めた。

 入試については、修士、博士課程とも4月、10月の両方で行っている。通常の入試は8月に行い、10月入学と次年度4月入学のどちらでも選べる形にしている。2月に定員が充足されなかったところは2次募集をするが、それと同時に留学生の特別選抜入試を実施している。これは日本語で受験してもらうもので、その問題を英文化することも進めている。加えて、国際コースのAO入試をスタートしている。博士課程はAO入試の一種で、特別配置という入試を実施している。


○石田教授(京大):来年は研究室から日本人学生が消える

 私の研究室の立場から言えば、G30で行わなくても、今年で博士課程の半分以上が外国人学生で、来年は日本人学生がほとんど消えてしまう。修士に関しては、まだ数が少ないので、G30でもう少し増えてもいいという状況。下に行けば行くほど日本人の学生、上に行くほど外国人学生という状況で、これでどうやって研究室全体を運営していくかは非常に大きな悩み。

 外国人学生が少ない時はお客さまで、研究室の中では日本語を使っている。ところが、博士課程の学生が外国人になり、英語でゼミを始めた瞬間、様相が逆転し、「日本人学生はどこにいるんだろう?」という状態になってしまう。G30は留学生の問題ではなく、日本人学生、日本人教員の問題だ。

【現状と対策】

 学生にとってどのくらい英語を使うのが難しいか。これには段階があって、「スライドを英語で」と言うと、まあつくれる。修士の2年生ぐらいになると、結構まともなスライドになり、練習すると、なんとか英語でプレゼンテーションはできないことはないが、日常的なディスカッションはかなりむずかしい。これは私の研究室だけではないのではないか。

 私の研究室は、機械翻訳を使った研究で「異文化コラボレーション環境」というのを行っているので、大学においてタブーと思われる機械翻訳を「積極的に使え」と言っている数少ない研究室ではないか。ただ、日本人学生と留学生との一体感を保つために、G30のコミュニティサイトをつくっている。研究科公認ではなく、アングラみたいなプロジェクトだが、研究科が努力して翻訳しているドキュメントなども全部載せているし、それを使って単語を抽出して辞書をつくり、翻訳と組み合わせて質疑応答をしたり、履修要覧などを多言語で作成できるようにしている。多言語で並行してディスカッションを行えるので、留学生が結構盛り上がっている。


○ヤトウト特定准教授(京大):積極的にPR、外国の大学に独自コンタクトを

問題提起として4点を上げたい。
・ インターナショナル・コースについて広める
・ 学生の多様性を維持するよう注意する
・ 学生に文化的なサポート、コンサルティング・サービスを提供し、学生が安心できる環境をつくる。特に就職活動時のサポートは重要
・ 他の国々がどのようにして国際化を推進しているのかを学ぶ

【現状と対策】

 日本はアジアの学生にとっては大変魅力的。外国人留学生の多くは中国や韓国から来ていて、言語も中国語や韓国語からそれほどかけ離れていない。しかし、その他のアジアの国々からの学生はそれほど多くはないし、真の意味での国際化を図るには、他の国々からの勧誘が必要だ。まずやるべきことは、もっと活発に英語コースについて宣伝すること。私の母国ポーランドでは、日本の大学のことも、どこが一番良い大学なのかも知らない。一方、ヨーロッパやアメリカ、カナダなどの大学は知られている。日本で英語で学ぶ機会があることや政府が奨学金を出していることもPRすべきで、同時に、政府に頼るだけでなく、大学が独自で外国の大学とコンタクトを取り、学生を勧誘すべきだ。

 日本にいる外国人留学生は多くの情報を得ることができないし、理解できないから聞くことのできないことも多くある。それは日本語が大きな壁になっている。そのため、彼らの情報源はインターネットか英語の本、英語で行われている特定の講義などに限られている。新たにスタートする英語コースは、日本の学生にとっても外国人と互いに交流し合う場になる。

 大学教育の国際化についても触れておきたい。外国人留学生を獲得するには、日本国内だけでなく、海外の大学との競争力を高めることが必要だ。スタンフォード大学やハーバード大学など高水準の研究を行っている大学には、多くの外国人留学生やスタッフがいて、異なる文化や教育で育った学生がアイデアを交換し合い、刺激し合っており、そこに新しいアイデアが生まれる素地がある。

 外国人学生が行くトップ10の大学は、アメリカ、UKが上位を占めている。ともに英語国で、ハイレベルの大学があるからだろうが、英語を母国語としていない国、たとえば、スイスは学生全体の17%を外国人学生が占めている。日本はまだ2.2%しかない。フランスやドイツの大学も注目度が高く、どのようにして多くの学生を惹きつけたのか、それを学ぶべきだろう。


「G30」は5年間で将来の道筋つける努力を
学位取得後のキャリアパスも十分な目配り

 引き続いて行われたパネルディスカッションでは、G30による留学生の学位取得後のキャリアパスや、日本の大学の国際化の遅れにどのように対処すべきかなど、多角的な討論が展開された。(司会:東大情報理工学系研究科情報理工学国際センター 木戸冬子特任助教)


――G30をどのように展開していくか、そのために解決すべきことは何か。その辺から議論を始めたいと思います。

萩谷:東大としては、G30をうまくとらえて、大学院の授業を英語で行うことにより、世界中の学生が私たちの研究科に来て、英語だけで学位を取得できる点が一番重要だと思いますね。そこから、世界的な研究拠点になるとか、日本人学生に対しても大きな刺激を与えるといった効果が出てくると思います。

ルガル:私も同感です。留学生向けの英語での教育がメインですが、逆に言うと、日本人学生にどんな影響を与えるかも大事なこと。英語コースによって日本人学生が英語に慣れて、国際的に活躍できれば…。

 入試の選考方法については、AO入試と呼ばれる特別選抜試験があります。この制度は、情報理工の研究科で2005年度から採用されたもので、北京大学出身の博士課程応募の学生のための選考方法です。予備審査で合格した学生が北京大学から推薦され、簡単なプレゼンテーションと口頭試問による入試を受けます。この試験は本郷キャンパスと東大北京事務所の間を結んだテレビ会議システムを使って行われており、この方法を2010年度から精華大学の専攻にも拡大していくことにしています。

田中:最も重要な事項は2つあると思います。1つは日本の大学そのものの国際化。京大には全学の学則がありますが、その英文版がなかったとか、日本の大学の入学試験には受験料がありますが、それはクレジットカードで払えないといった問題など多くあります。

 もう1つは、情報学の分野の人材育成が主眼ですね。英語で講義をすることだけではなく、G30で最も重要なのは、5ヵ年のプロジェクトであること。一過性のプロジェクトではない、国が長期的に大学の国際化をサポートする仕組みが望まれます。

石田:G30(留学生30万人計画)というのを聞いた時、ポスドク1万人計画を思い出しました。大事なのはキャリアパス。留学生がどのくらい日本の大学に来て、その次をどうするんだというジョブの問題もありますね。多様なキャリアパスがあると思うので、それをきちんとサポートしていくことが大事ではないですか。

 留学生に目が行きがちですが、外国人の教員も、京大に来るということがどういうキャリア形成になっていくのかを示す必要がありますね。アジアを見ると、シンガポールや香港の小さな街に素晴らしい大学がある、素晴らしい先生がいらっしゃる。そこの大学が優れた研究者のキャリア形成の1つのステップになっている。日本の大学もそういう形にならないと、大きな人材育成に貢献できないのではないかと思います。

ヤトウト:私の留学経験をお話したい。最初の留学地はイタリアでした。その後、東大情報理工の博士課程に来るチャンスを得ました。日本を選んだのは、独特の文化を持つエキゾチックな国で、かつ技術の先進国であり、大学教育も充実していると聞いていたからです。もっとも大きな動機は奨学金でした。

 東大では、英語で行われていた講義を受けました。その数は限られていたので、受講したい科目を選択することはできなかったのですが、幸運だったのは、所属した石塚研究室(石塚満教授)の半数の学生が外国人だったことです。日本人学生とも英語でコミュニケーションができるので、私にとって環境が整っていたと言えます。もう1つ、よかった点は、カウンセリングサービスが用意されていたことです。文化の違いや言葉の違いから日本での生活に不安を抱えていた外国人学生にとって、カウンセラーの存在は大きな助けになりました。カウンセリングサービスを提供できるかどうかも重要なことだと思います。

――サポーティングスタッフについては、どうでしょうか。

萩谷:京大のほうが予算規模が大きいので、充実しているのではないかと思うのですが。

田中:先ほど申し上げましたように、情報学研究科はG30で特定職員を1名、事務補佐を2名の3名体制で、主にG30の教務業務を始めています。3名で十分だとはとても思っておりません。3つの専攻の講義のスライドや教材すべての英文化をやっていますし、教務関係等の全学の文書の英文化も始めました。受験料をクレジットカードで払うとか、そういうことはほかの部局からまったく声が上がらなかったのですが、私どもの部局で「これはどうするのか」ということから取り上げたもので、国際化という意味では大変遅れております。むしろ現在いらっしゃる事務の職員の方々の国際化のほうが実は急務かなと思っています。

萩谷:私たちの英語コースは、京大の情報学研究科の国際構成よりもだいぶ小規模で、新規にスタッフを雇用することはしておりませんので、現在の担当者に頑張っていただいている状況です。今後は本部のスタッフとの協力をより密にしなければいけないと考えています。さまざまな文書の英訳は部分的に本部のほうで行っておりますし、特に期待したいのは英語の成績のシステムで、4月から教務関係のシステムすべてに英語バーションができると聞いております。

――G30の卒業生の進路について、どのような対策を考えられていますか。

萩谷:残念ながら、本格的な対策はまだで、それは非常に難しい問題です。私はコンピュータ科学専攻の就職担当を長い間、やってきましたし、2009年度は副研究科長として研究科全体の就職問題も検討してきました。その関係で企業の人事担当者と頻繁にお会いし、会うたびに「留学生の雇用はどうしていただけるでしょうか」と質問をしています。現状では、多くの企業はやはり留学生の日本語の能力を要求していて、日本語がある程度できる留学生や博士課程を出た研究職であれば、日本人学生と同じような基準での就職が可能になっています。外国人留学生は、世界的に展開しているグローバル企業への就職を考えている例が非常に多い。今後の課題は、日本の企業にいかに雇用の場を広げていただくかにあり、企業といろいろな場でお話をさせていただいています。ただ、企業側も大学と同じような問題を抱えているようです。さまざまな文書は日本語でしかないので、外国人に来ていただいても、英語でこなせる仕事はたくさんあっても、日本語が必要になることが多いんですね。

田中:留学生のキャリアパスといいますか、学位をとった後どうするかということまで研究科でシステマチックにできているわけではありませんが、従来の留学生、主に日本語ができる修士、博士をとられたアジア人は日本企業に就職をするケースが多い。アジアに限っていうと、十分ではないかもしれませんが、活躍できる場がある。たとえば、日本のIT企業が中国に進出するようなときに。情報学の分野は、グローバル企業との国際的な産学連携が進むことは間違いないでしょうから、キャリアパスの支援も非常に大事になりますね。

石田:こういう問題は、一大学ではなかなか難しい。京大、東大の2つの大学だけでも難しいですし、情報分野のグローバル化、留学生の就職を考えていく場として、情報処理学会は企業の参加も非常に多い学会ですので、そういうところでディスカッションを始めることができればいいと感じています。

――拠点間連携、海外の大学との連携については。

萩谷:拠点間連携に関しては研究科の中で議論しており、教員の交流ができたらいいねというような話はずっとしています。つまり、こちらから行く、もしくは向こうから来てもらうだけではなく、互いに情報交換し、こちらに来ていただいた方に英語の授業をしていただくし、向こうに行った場合は、機会があれば授業をするという形で。そうすると、いわゆるサバティカルというような制度もより実行化できるのではないか。もう1つは、やはり学生やポスドク等の若い研究者をいかに海外の拠点に派遣するかが大きな課題ではないでしょうか。

田中:海外の大学との連携ということを考えますと、G30ではなく、グローバルCOEプログラムがあります。これは博士課程の学生を主なターゲットとした教育プログラムですが、情報学研究科では、UCバークレイ、清華大学、ウィーン大学、中国科学院などとMOUを結んだ形で教員・学生の交流等もやっていますが、G30に関しても、提携先の先生に来ていただいて講義をしていただくということも始めたい。

 あとは、特に修士・博士の研究指導ですね。これもグローバルCOEプログラムの中で提携している海外の先生に研究指導アドバイザーをお願いしています。あくまで研究指導補助です。京大では、研究指導は専任の講師以上の教員しかできないというルールもあるので。

 また、大学によって違うかもしれませんが、日本の大学生の博士の学位の取得率、つまり、質の保証という話。それから一方では充足率という話があります。これを両方達成するのはなかなか大変です。ちなみに私どもの情報学研究科では、博士の学位の取得率は50%。これにはいろんな議論があります。

――G30の留学生に向けてメッセージを。

萩谷:繰り返しになりますが、私たちの英語コースは、英語だけで情報分野の学位が取得できます。これまで以上に世界中から多くの優秀な学生に来ていただくことによって、私たちの研究科の研究や教育がより活性化されることを期待しています。

田中:G30というのは、5年間の時限つきですが、情報学分野の国際的な人材の養成という観点に立つと、このプロジェクトはよいきっかけになると思います。日本にいらっしゃる外国人留学生、それから海外におられる方に、東大、京大の情報学の分野において、国際的に開かれた教育プログラムがスタートすることになりましたので、ぜひとも日本に来ていただければと思いますね。



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