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 2009/11/04
新情報システムを哲学、倫理など多面的視点から議論
「アジア太平洋 計算と哲学に関する会議」を終えて

 10月1、2の両日、東大山上会館で開催された「第5回アジア太平洋 計算と哲学に関する国際会議」では、活発な議論が行われた。情報理工学の発展に伴い、その技術が人間社会に及ぼす影響は多大なものがある。人類がこれらの技術を許容できるかどうかは、今後の発展を見通しながら、人間と情報システムの関わり合いの根源的な意味を深く理解する必要があるとともに、哲学的、倫理的視点からの洞察も必要である。本国際会議では、哲学や倫理学の専門家と、コンピュータ科学、ロボット工学、メディアアート、認知科学、生理学などの専門家が一堂に会し、今後の情報システムに対するデザインフィロソフィーを議論する場となった。

 大会委員長は石川正俊教授、プログラム委員長は石川・小室研究室のアルバロ・カシネリ助教、カーソン・レノツ特任助教が務めた。基調講演は、1日目に大阪大学の石黒浩教授が、倫理的な側面も含めて、アンドロイド研究の現状と将来について、2日目には、カリフォルニア工科大学の下條信輔教授が、認知科学の最近の話題、特に脳と心の問題へのアプローチについて講演した。

 セッションは、プライバシーと技術、ロボット倫理学、認知哲学、知的情報倫理/トランスヒューマニズム、自己の社会的構築/ハイブリッドカルチャー、Devices that alter perception等が設定され、幅広い意見が交換された。自己の社会的構築のセッションでは、脳科学者の茂木健一郎氏が座長を務めた。

 会議には、12の異なる国から39論文が提出され、そのうち、23論文を発表論文として受理した(60%の採択率)。次回は、ニュージーランドのWellingtonで行うことが決まっており、詳細情報については「ia-cap」の下記のウェブサイトに記載する予定。

 「http://www.ia-cap.org/conferences.php」。責任者はSorah Hongladarom氏(Chulalongkorn大学(タイ))になる予定。

 会議では、人工知能、道徳判断エージェントデザイン、ヒューマンコンピュータインタラクション、知覚の計算・神経生物学モデル、社会学、工学、メディアアート等の幅広い分野において、新しい技術・新しい情報システムが生み出されたときに、社会に対する影響、特に倫理的な側面からの議論を行った。別の言葉で言えば、新しい情報システムが出現したとき、そのシステムが社会に受け入れられるかどうかを考える倫理的社会受容性の問題であり、技術の開発過程や製品の製造過程における技術者の倫理性を求める、いわゆる“技術者倫理”とはまったく違った視点で議論した。

 特に、情報システムの設計の観点からは、(1)自律的ロボットや道徳判断が可能な人工エージェント(AMAsもしくはartificial moral agentsと呼ばれる)の設計における倫理的な問題、(2)情報化時代におけるプライバシーの問題、(3)知覚の計算モデルについて論じた論文もいくつか見られた(ちなみに、本会議のベストペーパーはRafael Grompone von Gioiによる「Towards a computational Theory of Perception」であった。

 会議には、さまざまな国から、いろいろな分野にまたがる人たちが集まり、多分野からの参加者にもかかわらず、異なる分野の人の発表に対しても積極的に質問している人が多く見受けられた。参加者が基本的に学際的思考の上で研究を行っているのではないかというように感じられた。また、会期中にランチブレイク、コーヒーブレイク、バンケットと参加者間で気軽に話をする機会が多数設けられ、ただ参加して発表をする、もしくは聞くというだけでなく、近い興味の研究者間でのつながりをつくる機会としても有効であった。全体的なプログラムの組み方がとてもよかったという声も寄せられた。

 さらには、ロボットの倫理やプライバシーの問題についての発表も行われ、それを聞いて普段の研究意識を再考する機会となった。当然のことながら、ロボットの研究をするからといって、好きだけでは成り立たないわけで、悪い影響をもたらす側面について認識するためにも、研究者間で相互に議論することで共通認識としての倫理感が出来上がっていくのではないかという意見もあった。

 一方、日本とアメリカでは、ロボット開発に対する見方が少し違っており、日本はポジティブ、アメリカではネガティブな傾向が見られた。日本だとアニメやメディアがポジティブに取り上げてきたこと、アメリカはそういう取り上げ方はされずに労働を奪われる存在として見られていることが背景として存在することが説明され、認識していなかった文化の違いに関心を抱いた参加者もいた。
  石川大会委員長は「技術者倫理とは異なる、新しい情報システムの倫理的社会受容性の問題を文化の違いなども含め幅広く議論することができ、会議を通してこのような問題に対する参加者の理解が進展した意義はとても大きい」と語っている。



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