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 2009/06/01
人間の性能を超える知能システムを創造する
創造情報学専攻 石川正俊 教授

独自の超高速ビジョンチップなど4技術を駆使
知能システムの革新で産業構造の変革目指す

 『僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる』―高村光太郎は詩集『道程』をこのように書き出しているが、石川教授の研究姿勢を光太郎風に表現すると、もっと前向きである。「僕の後ろに道をつくる」という気概に溢れている。究極の目標“人間の性能を超えるシステム”を実現し、これによって確保する豊かな知的労働力を積極的に活用して、日本のあすを拓くビジョンを描く。日本再生へ4つのオリジナル技術を融合していくが、これらの独自技術を育てたプロセス自体もきわめて戦略的で、最終ゴールを目指す研究方向はまったくブレをみせない。「価値の創造によって新しい社会をつくり上げるのは、誰かがやらないといけない。ならば、フロンティアとして自らその扉を開こう」。これが石川教授のシナリオである。

研究のアプローチは“鳥を見て飛行機をつくる”

 石川教授が精力的に展開している研究分野は4つ。センサーフュージョンシステム、ダイナミック・イメージコントロール、超並列・超高速ビジョンチップ、メタ・パーセプションの4つだ。研究者は、1つの分野を奥深く極めることに集中するケースが多いが、その手法は取らず、4分野を育て、かつ融合する作戦を採る。こうしたスタイルを推進している理由をみると、『なぜなのか』の答えが浮かび上がってくる。

現在の研究の4つの柱
知能システムの目標は、人間を超える能力
※画面をクリックして拡大画像をご覧下さい

 目標に掲げる“人間の性能を超えるシステム”を実現する際に心すべきこと、「それは人間の能力をまねることではありません」。人間の目や手、筋肉や、触覚、視覚といった感覚機能と同じ能力のものを取り入れても、優れたシステムになるとは限らない。かえってひずみが出て、どこかで破綻する。まねるのは、人間の持つ機能モデルとアーキテクチャー。それを駆使して工学的に再構成すると、人間の性能を超えるシステムができるという。「鳥を見て飛行機をつくる」のと、「鳥を見て鳥の形をした飛行機をつくる」のは違うのだ。

 石川流の研究モデルは、大前提としてシステム全体のイメージを構築し、そのイメージをもとに数式モデルや構造モデルを立てて実現の可能性を探る。形にするために、使える最適な技術が周りに用意されていればそれを使う、使えるものがなければ、自ら手がけるというトップダウンの戦略である。常に、要素よりもシステム全体の価値が基準である.

 スタートは、脳のモデルをハードウェアとしてつくり上げる研究だった。脳は触覚や視覚などのセンサーで受けた情報を高度に並列処理しながら、手足の運動系と結びつけている。感覚系の中でも触覚センサーから着手し、高感度のほしいセンサーがなければ、最適な素材は何がいいか材料研究に入り、センサーで取り込んだデータを高速に処理する専用プロセッサーがなければ、ここに踏み込む。こうして材料から電子回路、LSI、アルゴリズム研究へと広がる。触覚センサーに続いて視覚センサーも視野に入れ、視覚情報を処理するプロセッサーから光コンピューティング、さらに、五感に相当する感覚機能を工学的に実現するセンサーフュージョンという研究の幹を開いた。そして、人間の目ではとても追随できないほど速く、動的な映像制御ができるダイナミック・イメージコントロール、1秒間に1000枚もの画像を超高速処理するビジョンチップ、人とシステムが新たな知覚手法を介して対話し、いままでに感じたことのない世界を導き出すメタ・パーセプションなど、新しい視点にもとづくオリジナルの研究分野を相次いで生み出したのだ。

 「私がLSI開発を行ったのは、満足するものがなかったから。LSIを研究していてビジョンチップに結びつけたわけではない。主要分野が4つに増えたのも、目的を達成した以外に、新しい可能性を開くかもしれないと別の応用を探った結果なのです」。現在、推進している研究テーマはきわめて幅広い。分野のまったく違う複数の学会から高く評価され、表彰されているのも、他の研究者にはない特筆すべき点である。「それによって、かえって研究テーマが絞りきれていないように写るかもしれませんが、私の研究には一本筋が通っています。人間に匹敵し、人間を超える性能のシステムをつくるために必要なものばかりです」

新概念の「ヒューマンインタフェース」研究も

 人間を超えるシステムとはどんなものか? 「私たち人間には感じられない領域でも機械なら感じられる感覚を持った、私たちの目には見えない、触ってもわからないシステムができたら、おもしろいと思いませんか」。人間の性能を超えている超高速の画像並列処理がウリのビジョンチップなどを活用すれば、いまだに自動化できていない産業界の隘路を解決できるという。「人間だからできる作業が残されている。その部分を人間を超えるロボットに置き換えれば、生産体制を国内に戻せるんです」。システムに知能を埋め込むには、これまで以上の知能の集積を必要とする。知能化にかかわる知的労働力の確保で日本の産業は変わる、つまり、産業構造を変革する担い手になる―石川教授の心を深読みすれば、こうなるだろう。

 学生たちには、システムを俯瞰し、イメージを固めてから設計し、実現する手法を見いだすという持論を展開している。「鳥を見て飛行機をつくる」戦術である。飛ぶという原理がわかれば、金属の鳥をどう飛ばせばいいかを考えればいいのだ。そのとき、システムとしてどれだけの性能を盛り込むかを決めるのがモデルとアーキテクチャーと指摘する。ただ、自分のアプローチが正しい方向に向かっているか、節目ごとにチェックすることを求める。自己評価ほどむずかしいものはないが、「研究の継続か見直しか、採用するか捨てるかは、達成すべき目標に対して、自分の研究分野にとらわれない幅広く客観的な視点に立てるかどうかにかかっている」と分野を超えた視点の重要性を説く。

 “あしたの道をつくる”ために、石川教授は新たな行動を開始した。「これまでにない視点に立つヒューマンインタフェースの立ち上げを考えています」。創造情報学とシステム情報学の2つを専攻する研究者が、ゼロから1をつくる、つまり、何もないところから新たに何かを生み出そうという芽をつかんだ。開拓者の豊かな発想からどんなサプライズが示されるか、楽しみである。

石川教授



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