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 2009/03/01
大学の知で“ロボットを使う”未来図を描く
創造情報学専攻/知能機械情報学専攻 稲葉雅幸 教授

掃除・洗濯、キッチンロボなど具体像を提案
失敗しても原因を探り出し、やり直す賢さも

 『大学は未来の窓』。稲葉教授が短いフレーズで言い表すこの信条には、人とロボットが共生していく未来社会や家庭を、大学の知によって実現したいという目標が込められている。2000年くらいまでは、ロボットは“つくる”研究が主体だった。いまは企業が開発したロボットを実生活でどのように役立てられるか、大学が蓄積してきた知とノウハウを生かして“使う”研究へとシフトし、さらに、情報技術とロボット技術を融合したIRTによって、産学が一体となって次の産業のタネを“創造”する時代に入った。30年近いロボット研究のプロ、稲葉教授が俯瞰するロボットの動向である。「これから力を入れたいのは、新産業を興す芽を見いだすこと」。未来の扉を開くロボットというカギをどのようにつくるか。ポンと手をたたいて指を差した向こうに、3つのロボットがあった。

稲葉雅幸 教授

世界に類のないヒューマノイド研究

 そのロボットは、左から卓上型の見守りロボット「Mamoru」クン、掃除・洗濯はお任せの家事支援ロボット、そして、キッチンロボットだ。東大と企業が共同で提案した未来の窓の先駆けである。

 ロボットにどのようなことをしてほしいか。人によって要求はさまざまだが、たとえば、「外出しているうちに、掃除・洗濯・食器洗いをやっておいてね」とボタンを押して出かけているうちに、家事をこなしてくれるロボットなら、大方の主婦にとって大助かり。家事ロボット普及の手がかりがつかめるだろう。そんなに急がなくていい、ゆっくり動いて確実にやってくれればいいのだ。問題は、途中で失敗して止まったままになったり、何らかのトラブルでテーブルを壊した、Yシャツを破いた、お皿を割ったといったときに、それを解決する処方箋を用意できるかだ。「何をさせるのかコアをしっかり固めることが、未来の窓にできるかどうかのポイントです」と強調する。

 写真の家事支援ロボットは、Yシャツを洗濯機に入れようとして落としても、落としたものが衣類かどうかをセンサーで確かめ、衣類と判断したら、つまみ上げて洗濯機に入れる。賢さはここまで実現している。ロボットはいったん覚えたことは、人と違って忘れない。途中でダメだったらやり直す、計画の変更もできる、そんなロボットなら、人の代わりは十分にできる。

 いま、稲葉研究室では大きく3つの研究が動いている。これらは東大と企業が連携して展開しているプロジェクト『IRT研究』と連動している。@人型(ヒューマノイド)ロボット研究、A人型ロボットのコア技術をもとに社会のニーズを実現、B次代の産業のタネにつながる芽を見いだす―の3つだ。

 稲葉教授の30年に及ぶロボット研究のスタートは、ロボットの指で紐を結ばせることだった。腕1本、指2本、カメラ1個のロボットは知能ロボットのはしりでもある。これでロボットの指の動きを実現したが、アニメ世代の子どもたちが思っているロボットは、もっとダイナミック。鉄腕アトムのように空を飛び、新幹線やクルマが変形合体して人に変身するロボットだ。「ロボットとしてイメージするのは、やはり人型」とみて、ヒューマノイドが研究対象として注目される前から、人間のような精密で複雑な機能を持つロボットに照準を合わせた。しかし、最も重要なのは、人のような“形”ではない。中身の知能だ。視覚や聴覚、触覚、力を感じ取る機能など五感を計算機につなぐ。それも動き回りながら五感を使えるような高い知能をロボットに乗せる研究を積み重ねた。

知能ロボット基盤ソフトウェアシステム 少子高齢社会と人を支えるIRT基盤の創出
知能ロボット基盤ソフトウェアシステム 少子高齢社会と人を支える
IRT基盤の創出
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 そして誕生したのが、『小太郎』から『小次郎』に継承した柔軟筋骨格ヒューマノイドや日常生活支援の等身大ヒューマノイドなどだ。特に、『小次郎』は人間そっくりのしなやかな動きをする世界に例のないロボットである。稲葉研究室がユニークなのは、こうしたロボットをつくり、実際に動かしてその動きを評価し、それによって明らかになった成果をフィードバックして、より信頼性の高いメカの研究や、新たなロボット研究に反映させている点だ。加えて、学会発表時には、その動きがなぜ可能になったのか、このメカを盛り込んだことによって実現できた背景など隅々まで、研究者の視点で詳しく語らせる。こうしたトレーニングが学生の研究に対するモチベーションを高めることにつながっている。「いつも彼らに言っているのは、自分でつくり上げたロボットが世の中で具体的にどのように使えるかをイメージしないと、実演すらできないよね」。このアドバイスを聞いている学生たちの様子が目に浮かぶ。

ベッドメイキングなど次の研究も視野に

稲葉雅幸 教授

 「研究室は学生が自分自身を磨いていく研修の場。授業だけでは足りないものを補う場ですね」「人間研究をしている企業研究者が(稲葉研を)訪れるケースが増えている。彼らはヒューマノイドの関節の動きから機械部品の柔軟な組み立てに、センサー技術から認識研究などに、それぞれ応用展開する際のヒントをつかんでいるようです」。独特の研究スタイルが企業の関心を呼び、次世代のロボットを共同提案したり、産業になりそうなタネを導き出すのに有効に働いている。

 ヒューマノイドには高度な技術がぎっしり詰まっている。その中から目と手の一部の技術を切り出すと、お椀やお皿などの食器を認識し、つかんで食器洗い機に移したりするのに使える。テーブルの下を掃除するときも、椅子を横にずらし、掃除がすんだら、元の場所に戻すといった作業に多彩なセンサー技術が生きる。ヒューマノイドに取り組んでいるのは、技術の幅広い波及効果を狙っているのだ。

 ロボットが紐を結ぶことなど、だれも予想しなかったにちがいないが、いまでは食器を洗ったり、モップでぞうきん掛けをしたり、洗濯機も使えるようにグンと賢くなった。次はふとんを準備する、ベッドメイキングをする、抱きかかえるといった、人でしかできないことをやれるようにしたいのだ。メインの仕事だけでなく、もう1つ、抱きかかえもできるようにするには何が必要か。稲葉研から人とロボットが共生する未来の姿を示し、紐結びで成功したときのワクワク感と同じ興奮を、今度は学生と一緒に味わいたい―稲葉教授の想いである。

情報システム工学研究室



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