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 2009/02/15
人の支援をしっかり行う『機械としてのロボット』を
知能機械情報学専攻 森 武俊 准教授

『部屋全体、街全体がロボット』など独自の着想
研究の視点は環境、動作認識、コンテンツの3つ

森 武俊 准教授 多くの研究者がチャレンジしているロボット研究。人型のヒューマノイドをはじめ、1台でいくつかの仕事をこなすものなど、バラエティーに富んでいる。森准教授が目指しているのは、人の代わりをするのではなく、高齢者などが快適な生活ができるように支援するロボットである。部屋全体がロボット、都市全体がロボットという実にユニークなコンセプトを打ち出し、あえて人の形をしたロボットとは距離を置き、人の支援を主眼にした“機械としてのロボット”を軸に据えている。“機械”というイメージからは、知能が乏しそうに感じられるかもしれないが、高齢者がやってほしいと思っていることを、その人の動作などから読み取り、先回りして行動する賢さをもたせようとしている。通常のロボットとはひと味違う研究の現場を覗いてみよう。

高齢者のリクエストを、その人の癖を見てサービス

部屋全体がロボットというコンセプト
部屋全体がロボットというコンセプト

 森准教授が進めているロボット研究の視点は、整備されたインフラの中をロボットが自律的に動いて人を支援するということ。佐藤知正教授と一体となって具体化しようとしているそのイメージは。提案している「部屋全体がロボット」のシステムでみるとわかりやすい。ここには2本足で歩いたり、車輪で動いたりするロボットはいない。天井から吊り下げた機械(ロボット)の手がコップなど日用品を入れた箱を持ち運んで、持ってきてほしいとリクエストした人に手渡す。機械がモノを直接つかむよりは、モノを収納した箱を持ち運ぶほうが効率的だし、整理もしやすい。部屋に仕込んだロボットが、部屋の中にいる人にサービスをするのだ。

 このために研究の柱にしているのが、(1)ロボットが自由に行動できる環境インフラを用意し、この中でロボットが働く、(2)中にいる人が何をしてほしいのか、その人の癖や行動パターンをモデル化し、ロボットが理解し行動できるようにする、(3)ロボットが行うサービスのコンテンツの3つ。つまり、「環境」、「動作認識」、「コンテンツ」のトライアングル作戦こそ、森准教授らが推し進めている研究の中身だ。

環境型の考え方で配置した多数のセンサーによる室内状況の把握
環境型の考え方で配置した
多数のセンサーによる室内状況の把握
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 中でも、森准教授は、人間の行動のモデル化や動作の認識、計測という分野を攻めている。機械として人に役立つものにするには、人がいちいち細かく指示して動かすのではなく、人がいま何を望んでいるかを推察し、先回りして行動できるようにしたい。あれがほしいと人が望んだら、どのタイミングでどのように支援したらよいかを、人のふりを見て先を読むのだ。「この場合、人と同じような知能を考えているのではなく、たとえば、レストランに来たお客さんをどの席にお連れするか、観察力と過去のお客さんについての情報などから、そのお客さんのことを詳しく知らなくても、心地よいサービスを提供できるようにしたい」。こうしたインテリジェントな機械にするために、アルゴリズムやソフトウェアの研究を進めている。

長期間蓄積したセンサーデータの解析による生活パターン把握
長期間蓄積したセンサーデータの
解析による生活パターン把握
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 ロボティックな部屋については、佐藤教授とともに15年前から研究に着手し、キッチン、リビング、ダイニングというようにモジュールにして取り組んだ。そして、部屋の中にセンサーを多数設置し、中にいる人の行動や癖を長期にわたって記録、分析した。たとえば、リビングのソファーに座ったら、次はどういう順番でどんな行動をとるかを把握する研究を積み重ね、その成果を、どこかにしまい込んで忘れた眼鏡ケースをロボットが教えてくれるシステムなどに生かした。「いつもどこに入れているか、どこにしまうことが多いかなど、その人の行動をつぶさに観察したデータをもとにしてつくり上げたもの」なのだ。ふだんのパターンを知っていることから、逆に何か違う振る舞いが起きれば異変の検知も行える。しだいに人の支援に近づきつつあり、さらに、先回り予測などが的確にできるように、機械、数理、認知心理、あるいは倫理といった他の領域の研究者と積極的にコラボレーションしていく考えである。

 街全体をロボットにする研究は、まだデッサンのレベル。部屋型なら、その人や家族に特化したデザインが可能だが、街となると、人同士のコミュニケーションを活性化する方向で支援できるか、新たなテーマが加わってくる。特に少子高齢社会では、足腰が不自由な高齢者が増えてくるので、買い物や病院に行くのに電動車いすやパーソナルモビリティを使うだろうし、情報機器を体の一部として使う社会のあり方も並行して議論する必要があり、長期的な社会インフラについても視界に入れている。

ロボットOS時代に備えたソフトウェア研究も

森 武俊 准教授

 ロボットの研究者が口にするキラーアプリケーション。森准教授にも聞いた。「高齢者用か共働き家庭の子どもたちを支援するものか、特定するのはむずかしいですが、家庭用でもオフィス用でも、どこか突破口を開くと、一気呵成に普及する可能性があります」。そのときには、機械としてのロボットや車輪型など多様なロボットが活動し、これらロボットにはPCのようにOSが組み込まれ、掃除とか洗たく、後片付けといったサービスコンテンツをネットワークからダウンロードして活用することが予想される。「そうした時代には、多様なロボットを有効かつ相互利用する統一的なソフトウェアが欠かせないでしょう」。次の時代もしっかりと見据えているのである。

 30年ほど前は、小学生にはコンピュータは身近な存在ではなかったが、森准教授はオセロゲームや迷路を解く遊びに使って楽しんでいた。しかし、コンピュータの箱の中だけに閉じている世界と感じるようになった。高校生のころは、人の知能を知りたい、その対象としてリアル世界にかかわるロボットを思い描き、ロボット研究を突き詰めると、人の知能にも触れられるかもしれないと考えた。以来、ロボット研究は迷路にはまることなく、方向もまったくぶれていない。

 学生たちに贈るメッセージは『ロボットは未来社会をつくる機械であり、人の活動を支援する機械でもある。工学を通して社会に貢献できる魅力的な研究分野』と。「学生をロボット研究に引き込む口説き文句としてピッタリでしょう」と笑う。研究室は、ロボットに魅せられて飛び込んできた学生たちが、新しい息を吹き込もうと意見をたたかわせている現場だった。

佐藤・森研究室



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