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 2008/07/15
実世界と情報世界を融合して、新たな感動を届ける
システム情報学専攻 川上直樹 講師

視覚技術で見えないものを透かして見えるものに
クルマの助手席に外の道路の映像をそっくり表示

川上直樹 講師 「透明人間、あらわる あらわる〜♪」。中高年には忘れられないピンク・レディーのこの曲のメロディーが流れてきたら、むかし覚えたフリに合わせて自然に体が揺れだす人もいるだろう。その透明人間を川上講師らが新たに『創造した』と書くと、世間はアッと驚くに違いない。タネを明かすと、あらゆるものをスクリーンに、ディスプレイにできる手法を見いだしたのだ。この透明化技術は“見えないものを見えるようにする”魔法の杖。クルマなど広範な応用が期待されるが、川上講師の究極の目的からすると、ほんの序章に過ぎない。人間の感覚機能を探り、それをもとにリアル世界とコンピューターがつくり出す情報世界を重ねて、SF世界のように人間の体を透明にしたり、ロボットを自分の分身のように活用したり、いままで体験し得なかった感覚や感動をつくり出したいのだ。川上講師の
“人間を知る”研究の第一楽章が始まっている。

再帰性投影技術を駆使して拡張現実感を演出

※画面をクリックしてムービーをご覧下さい
  まず、動画をご覧いただこう。クルマの内部に外の様子が写し出されている。車外の様子が透かして見える、普通では考えられない映像だ。ドライバーの死角となる乗り物の外の状況を、ドアや床などに映像として写し出すことによってクルマの死角を減らし、事故を事前に防ぐのに役立つ。映像を投影する面に再帰性反射材という特殊な材料を塗布しておくと、ドライバーは頭に装着した装置を使い(あるいは、使わなくても)鮮明な映像として見ることができる。現実の環境から得られる情報と、コンピューターの情報を重ね合わせることで、肉眼では見えないものが見えたりする、まったく新しいAR(拡張現実感)の世界へと導いてくれる。身近なところでは、クルマの車庫入れや縦列駐車への応用。バックの運転が苦手な人には、とても朗報だ。

 2つの世界を結びつけるために、川上講師は@バーチャルリアリティ、Aテレイグジスタンス、Bインタフェースという3つの切り口で迫っている。特に注力しているのは、視覚を介してリアル世界と情報世界を重ねて表現する研究だ。3分野の横串を刺す共通技術である。たとえば、室内にいても屋外が透けてみえたり、動いている人を透明にしたり、だまし絵やトリックアートなどをほんとうに見えるようにしてしまうのだ。「錯覚にしても、9割の人には感じられるが、1割の人には感じられないものがある。それは脳の情報処理の仕方に違いがあるってことなんです。それを突き詰めていけば、人の脳の仕組みを知ることにもなります」。このため、いままで体験し得なかったような感覚を表現するメディアアートはおもしろい題材という。

 おもしろいという観点から、川上講師は触覚にも注視している。視覚(目)や聴覚(耳)は基本的に受け身だが、触覚は相手とのコンタクトによって得られる。しかも、全身のどこからでも情報が得られるのが特徴だ。これは研究室の主題であるテレイグジスタンスロボットを実現するうえで欠かせない感覚でもある。テレイグジスタンスはオペレーターが遠く離れたところにあるロボットに入り込んで、ロボットがオペレーターと同じ動作をする遠隔存在技術を用いたものだ。遠隔地にいる人はロボットを通して、オペレーターと直接コミュニケーションしているように感じられる。いわば、ロボットが人の分身となり、医者がその場にいるかのように最先端医療などを行うことができる。この周りを固めるのが、違和感のない自然な立体映像を提示するシステム「TORSO」や、触覚カメラ「GelForce」などだ。「このロボットのコクピットに座ってこっちを見ている自分を見たら、口では言い表せない、幽体離脱のような不思議な価値観が生まれてきます」。ここに360度グルッと立体視ができる方法が加味されれば、未知の映像世界との出合いが実現するのだ。

テレイグジスタンス 触覚のテレイグジスタンス
テレイグジスタンス 触覚のテレイグジスタンス
※画面をクリックして拡大画像をご覧下さい

 テレイグジスタンスロボットは、ロボットをディスプレイにしてオペレーターの姿を映すことを示した例だが、クルマのシートに外の様子を写す方法を利用すれば、操作性や安全性を向上させる新しい操縦者支援システムができる。腹部に病巣が発見されて手術が必要と診断されたら、腹部そのものをディスプレイにして内部を透視する。MRIで病巣の位置や形、大きさなどを精密診断し、病巣の位置をピンポイントで探り当てられるので、手術の正確性が高まり、安全性の向上にもつながる。

人間研究から得た知見を「知能」として付与したい

川上直樹 講師 こうした技術はまだ夢。具体的な形にするのに何が必要か。「知能がいるんです」。カメラで四角形を切り出すことは簡単にできるが、机の上にある名刺をカメラが理解できるかと言ったら、まだできない。実世界を認識する知能をつくり上げることが最重要である。また、360度どこから見ても立体視できるディスプレイも、触覚そのものの仕組みさえも手中に収めたとは言えない。人間を知る研究から、その答えを引き出そうとしているのだ。「まだ、中身は明らかにできませんが、手の届くところまで来ています」

 東京工業大学で電気電子を専攻し、暗号や符号化などの情報数学を修めた研究者が、趣味でロボットサークルに入り、むかしは神の遣いだったが、いまや超嫌われ者の代表格のイメージが定着したカラスの撃退ロボット研究などを手がけた。博士課程からバーチャルリアリティに興味を持ち、舘ワ(たち・すすむ)教授(2006/11/15フォーカス)らが行っていたバーチャルリアリティの学生コンテストに加わった。その中で大学の研究者になった第一号が川上講師。そしていま、舘研究室の一員である。

 「動いている研究テーマは多彩。これに取り組む学生たちの能力を発揮できるような環境づくりが私の仕事」と言うように、川上講師のタクトの振り方がカギを握っている。秋9月、ドイツでメディアアートのフェスティバルが開かれる。東大も1つの建物全体を借り切り成果を問う。ここで川上講師は透明化技術の新バージョンを展示し、感動を演出する予定だ。

舘研究室



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