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 2008/04/15
ディペンダブル・コンピューティングの早期確立へ
システム情報学専攻 南谷(なんや)崇 教授

「情報社会技術」を軸にシステムの信頼性を向上
評価指標を取り入れ、経済価値へのリンク目指す

南谷(なんや)崇 教授 「社会のこれからのプラットフォームは、“情報社会技術”です」。情報技術に加えて、情報システムのアウトプットとなるサービスなどを含んだトータルの情報社会技術が次代を担うと南谷教授は見通す。そのために必要なのは、情報システムの安全保障と強調する。コンピューターに全面的に依存する現代社会は、いったんコンピューターのトラブルに見舞われると、莫大な経済損失を招くだけでなく、尊い人命も危険にさらされる。それを回避し、社会のディペンダビリティーを高めるには、コンピューターシステムのフォールトトレランスの確立、言い換えれば『ディペンダブル・コンピューティング』の確立が不可欠という。南谷教授が研究で貫いている考えは、まさに信頼性の確保。理想とする情報社会技術を手に入れるために、多面的に布石を打っている。

目線は“フォールトトレランス”

 私たちはコンピューターシステムに取り囲まれている。家の中でも、大学やオフィスの中でも。そして、娯楽、モノづくり、金融・保険、医療、行政のどの現場をみても、当たり前にコンピューターシステムが活躍している。コンピューターがなければ生活も産業も成り立たなくなっているのだ。このコンピューターシステム、普段は故障などしないと誰もが思っている。否、思い込んでいるが、ATM、株式決済、列車や航空機の座席予約などのシステムダウンによってどれほど困ったかを、私たちは経験している。

情報社会のディペンダビリティ
情報社会のディペンダビリティ
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 「コンピューターを構成するハードウェア、ソフトウェアが故障(フォールト)しないなんて思うほうが誤解なんです。いつかは故障します。でも、これらが故障しても、システム全体に影響せずに正常に動き続けるとしたら。こうした性質―フォールトトレランスを追求するのが私の研究の柱です」

 システムダウンを防ぐために、同じシステムを予備として用意したり、ソフトウェアについては、誤り検出、暗号化など二重三重の防護策を講じて信頼性を高める工夫をする。それでも故障は起きる。防止策を取ったといっても、ユーザーからは安全、安心がどれだけ高まったかを把握する術(すべ)がない。「欠けているのは評価。セキュリティーの評価指標をつくり、弾き出した評価値を経済価値とリンクさせて、どれだけセキュリティーが高まったかをわかってもらえるようにしないと」。南谷教授の攻め口は、ユーザーの立場で考える点にある。「社会のディペンダビリティーのために、単に旗を振るだけじゃダメなんです。技術に裏打ちされたリターンを示すことが重要」とし、そのために、論理レベルから物理レベルまで多様なシステム階層を統合しながらフォールトトレランス技術の確立を目指している。

非同期式マイクロプロセッサ: TITAC-2
非同期式マイクロプロセッサ: TITAC-2

 南谷教授がシステムにディペンダビリティーが欠かせないという考えに立って具体化した第一弾は、20年ほど前に開発したセルフチェッキング機能を持つプロセッサーだった。次いで提案したのが、クロックを使わない非同期式のプロセッサー。PCなどの心臓部のプロセッサーはクロック周波数と同期させて駆動するのが主流だが、LSIの微細化が進めば進むほど電圧変動などによってクロックとのタイミングのズレが生じ、誤動作が発生する可能性が高い。非同期式は、タスク(仕事)がないときは休んでいるので、電力を消費しないし、変動に強いメリットがある。アイデアが先行しすぎて、産業界の注目度は高くなかったが、ここへきて自動車メーカーなどが関心を持ってきたそうだ。非同期式システムは、バッテリーで動く携帯電話などの情報携帯端末に大きな効果をもたらす期待がある。

CREST研究に初めて数値目標を導入

南谷(なんや)崇 教授

 現在、大規模なプロジェクト、JSTのCREST領域「情報システムの超低消費電力化を目指した技術革新と統合化技術」が動いている。消費電力をキーワードにしたディペンダビリティーの研究である。スーパーコンピューターから携帯端末、組み込みシステムに至る多様な応用分野で、情報システムの消費電力当たりの処理能力を100倍から1000倍にアップすることを目指したビッグプロジェクトだ。デバイス・回路、アーキテクチャー、OS、プロトコル、応用・サービスといった各階層で省電力化に関する飛躍的な技術革新を促し、その成果を統合することによって、超低消費電力化技術の実現を図るもの。ポイントは100倍から1000倍という具体的な“数値目標”を設定したところにある。

CREST領域「情報システムの超低消費電力化技術」
CREST領域
「情報システムの超低消費電力化技術」
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 「文科省のプロジェクトで数値目標を導入したのは初めて」で、12チーム全体の研究総括が南谷教授だ。一例をあげると、ハイエンド向けシステムLSIの消費電力を抑えたまま、消費電力当たりの処理能力を100倍に向上する研究を、システム情報学専攻の中村宏 准教授が代表を務めるチームが推進中。コンピュータ科学専攻の須田礼仁准教授(2008/02/01のフォーカス)らのチームは、性能電力効率を1000倍にアップする次世代HPCの開発と取り組んでいる。また、“サービスを科学する”という切り口で活動している「サービスイノベーション研究会」(委員長:武市正人教授)に加わり、サービスのディペンダビリティーにも照準を当てている。いわば、情報・技術・サービスの三位一体によって、情報社会技術というプラットフォームの構築を目指しているのだ。

 1971年、東大計数工学科大学院修士課程を修了後、10年間、NECでプロセッサーの研究に携わる。その後、東工大の情報工学科を経て1996年から東大先端科学技術研究センター教授に(大学院担当はシステム情報学専攻が本務)。2001年から3年間、センター長を務め、この時代にプロジェクト専任という“特任”人事制度を立ち上げた。「特任という制度は私の発明」と披露する。駒場にある先端研は、理系の研究者とともに、法律、経済、政治の文系研究者もいる文理融合のセンター。ここで南谷教授が培った研究の視点は、自らの研究テーマが示すように、「社会のニーズ、社会のビジョンに軸足を置くこと」である。ディペンダビリティー追求の姿勢を貫きながら、また新しい発明を狙っている。

南谷・中村研究室



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