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 2007/05/15
“ライフログ”をキーワードに情報環境の構築へ
電子情報学専攻 相澤清晴 教授

人の一生の映像を記録、必要な時に望みのシーンを
屋内外のサーベイランス実験で実現の可能性を示す

 人は誰でも1冊の本を書けるという。自らの生涯にスポットを当てた自分史である。そうはいっても、直近の出来事ならまだしも、幼いころのこととなると、写真を見ても思い起こせるかどうか、はなはだ心もとない。この夢を叶える、強い味方となる技術が出番を待っている。人の一生分の映像を記録し、膨大な情報の中から、印象深いシーンを自由にピックアップすることができそうなのだ。電子情報学専攻の相澤教授は、“ライフログ”というキーワードを手がかりに実現を目指している。

無線LANで街行く人の追跡も可能に

相澤清晴 教授
 「ここ十年近く、興味をもってトライしているのがライフログ」と相澤教授。人の生活情報などをありのまま記録し、大量の情報の中から、見たいときに効率よく引き出して利用する研究である。膨大な体験情報を処理していくには、映像や音声などのコンテンツだけでなく、コンテキスト(さまざまなセンサー情報)を最大限に活用することが必要だ。ウエアラブルなセンサーで始めたが、最近積極的に取り組んでいるのが、(1)家など屋内にセンサー(カメラやマイク)を取り付け、(2)屋外にセンサー(カメラ)を設置し、データを収集する研究である。

 人は平均して1日の半分を家で過ごす。人生の半分は家の中にいる計算で、家の中の行動はだいたいわかっていると誰しも思いがちだが、実際はそうではないらしい。あまり意識していない行動から自分自身を再発見したり、健康管理や介護したりするのに役立つ貴重かつ重要なシーンがいっぱいあって、利用価値は十分にある。それを実際に利用するにはあらかじめ記録しておくことが前提で、相澤教授は、情報家電のサービス開発の目的で設置されたユビキタスホームを使って、実生活の情報記録実験を試みた。

屋内ライフログの詳細画面
(映像と、その時の人物の行動軌跡を示している)
屋内ライフログの詳細画面
(映像と、その時の人物の行動軌跡を示している)

 部屋とリビングにカメラとマイクを取り付け、床には圧力センサーを張り、親子3人の2週間の生活データを記録した。この記録情報をもとに、曜日をクリックするだけで活動のサマリーが見え、ほしい情報を即座に引き出す手法を手に入れた。その行動記録から、ソファで寝ていた幼い子が目覚めて両親を探して走り出したり、この子が朝食を二度食べていたり、気づかなかった行動を見つけることもできた。1日の個人の行動を記録すると、生データで500GB(ギガバイト)にも上るという。1ヵ月、1年、そして70年分の生涯の膨大な活動記録も、それほど遠くない時期に可能になるだろう。それを活用する準備が整いつつあることをうかがわせる。

 一方、屋外の広い地域に設置したカメラで撮った映像を処理する研究にも着手している。つくばエキスプレス・柏の葉キャンパス駅前から東大柏キャンパス前までの、約2kmの街路に並ぶ電柱に無線LANのアクセスポイントを敷設。さらに、キャンパス前の公道の約400mの区間では、カメラ、PCも電柱に取り付けて、大規模なサーベイランス実験を推進中だ。KACITEC(柏の葉キャンパスシティITコンソーシアム)の活動の一環で、1本の電柱にはカメラ3台、合計12本の電柱に36台のカメラを搭載し、人の移動を追跡するのだ。2台のカメラで歩道側を、1台で向かい側を監視するようにし、背景に定義したものと違うもの(動き)が現れたとき、追跡を開始するようにした。そして、カメラで捉えた情報を無線LAN のアンテナで飛ばし、アクセスポイント、光ファイバー、インターネットを経由して研究室のサーバーに送る実験を進めた。

屋外でのサーベイランス実験も展開(電柱に設置したシステムの外観)
屋外でのサーベイランス実験も展開
(電柱に設置したシステムの外観)
 その結果、人の追跡は可能になったが、まだ初期のレベル。歩いている人、ジョギングしている人もいれば、自転車に乗っている人、クルマもあり、動いている状況はさまざま。また、追跡するカメラの視野は狭く、追跡情報を次々にカメラに受け渡していく工夫もいる。その対策の1つとして、無線LAN の端末(PDA)を追跡のサインに使うことを考えている。PDAを持っている人を追いかけることによって、カメラで見えにくいところでも位置検出が可能で、屋内に入っても位置を特定できる、GPSにはない特徴がある。「1台のカメラの視野に同時に2人が入ったとき、2人とも継続追跡は可能ですが、途中で別れたときはどちらを優先的に追跡するかなど、解決すべきところはたくさんあります」としながらも、無線LANのシナリオに確かな手ごたえを感じている。

アーカイブ記録のための3次元ビデオも

相澤清晴 教授
 相澤研究室が主力にしているのは、次世代の情報環境の構築に不可欠な画像情報処理研究で、ライフログの情報処理、広域サーベイランス実験とともに、3次元ビデオ研究も重点を置いている。実世界を動的な3次元グラフィックオブジェクトとして取り込む技術である。その情報量は膨大になるので、圧縮、セグメンテーション、検索、編集といった技術開発が欠かせない。アーカイブのための基盤技術であるため、舞踊や野球など人の動作を対象に3次元CGデータの圧縮、数式モデル化研究に力を注いでいる。この3次元ビデオ研究もライフログ、広域屋外実験にしても、ソフトウェアだけでなく、各種デバイスを使ったハードウェア開発を行い、両方を統合して諸問題解決の武器にしているところが持ち味である。

 5月のゴールデンウイーク中に東京・南青山で「木とデジタル テクノロジーが生み出す“新しい自然”」と銘打った初の展覧会が開かれた。太陽の光と影を操作することで木漏れ日を演出する木漏れ日のディスプレイや、葉脈の中に個人のIDを記録し、展覧会場での個人の振る舞いを記録するリーフコードなど、情報系の研究者がアーティストと共同でメディアアートと最先端技術を融合した新しい世界を提案した。手で触れ、目や肌で感じるこの体験型の空間は、大きな反響を呼んだ。リーフコード部分を担当したのが相澤教授である。「今後、機会あるごとに次世代情報処理のシナリオを描き、実践し、多くの人にアピールしていきたいですね」。

相澤教授
相澤研究室



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