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 2006/12/01
創造性豊かなITスペシャリストを育てたい
創造情報学専攻 竹内郁雄教授

秋葉原から世界へ画期的なソフトを
大学・学生・企業の知恵を融合して

竹内郁雄教授
 「秋葉原から世界に冠たるソフトウェアを発信したい」―開口一番、竹内教授は力強いメッセージを発した。東京大学情報理工学系研究科は東京工業大学、国立情報学研究所と連携し、産業界の協力を得て、2006年10月から4年計画で先導的ITスペシャリストの育成推進プログラムをスタートさせた。東大の代表は武市正人研究科長、10人を超える実行部隊の取りまとめが竹内教授で、創造性豊かなソフトウェア人材を育て、彼らの頭脳から世界に通用するソフトウェアが生まれることに賭ける。その気概が冒頭の言葉となってほとばしったのだ。

 JR秋葉原駅前にそびえる秋葉原ダイビルの13F。情報理工の研究科内に6つ目の専攻として2005年度に設置されたばかりの最も若い創造情報学専攻の拠点である。この専攻の発足と同時に、教授に迎えられた竹内教授に極めて重大なミッションが託された。3大学は『情報理工実践プログラム』のもとで連携と分担作戦により、社会を先導する独創的ソフトウェア開発ができる「技術創造人材」とソフトウェア開発過程を設計できる「開発設計人材」、この両方を掛け合わせた「先導的ITスペシャリスト」の育成を目指す。東大はプログラムの最終ステージとなる「実践工房」を置き、院生を対象に年間10人育成する予定で、これを主導する仕事が竹内教授に回ってきたのだ。

情報理工実践プログラムのイメージ図
情報理工実践プログラムのイメージ図

天才プログラマーの発掘でも実績

 実は、竹内教授、すでにソフトウェア人材の発掘・育成に関わっている。2000年から経済産業省の未踏ソフトウェア創造事業のプロジェクトマネージャーを務め、日本の若い天才プログラマー/スーパークリエーターの発掘・育成に尽力している。2002年からは28歳未満の若手人材の発掘・育成に特化した未踏ユースを担当。これまで6年間に発掘・育成したクリエーターの数は、大学の研究室で10年間に指導した学生の3倍(約140人)に達している。創造情報学専攻の専任教授として招かれたのは、「創造」というキーワードに未踏ソフトウェア創造事業の仕事がマッチし、評価されたのだろう。竹内教授にIT人材育成のまとめ役として白羽の矢が立ったことは、自然の成り行きと言えるかもしれない。

竹内郁雄教授
 竹内教授のソフトウェア研究は、NTTの基礎研究所時代に始まった。1971年に入所して最初に人工知能研究用のプログラミング言語Lispを手がけた。1970年代は人工知能研究ブームで、これに使うプラットフォームを用意するのが目的だった。1982年から第5世代コンピューターの国家プロジェクトが始まり、Prolog、Smalltalkといった人工知能言語が話題を集めた。そこで、3大言語を融合して走らせる画期的なLispマシンを企業の協力を得て実用化した。つかみどころがない、正体不明のマシンという意味をこめて、和製キメラの「鵺(ヌエ)」をシンボルマークにしたが、黎明期のカーナビの開発などに使われ、実際に社会貢献した。このときのメンバーは、大学教授などとして全国に根を下ろし、毎年1月28日の伊豆長岡の鵺祭りに集まり、旧交を温めている。

 1997年、50歳のとき、26年間勤めたNTTから電気通信大学教授に転身。RoboCupサッカーと出合う。『2050年までに、人間のサッカー世界チャンピオンに勝てる自律型ロボットチームをつくること』を目標にした、知的ロボティクスとAIの壮大な研究で、サッカー大好きの竹内教授にとって、その後の研究を左右する絶好の出合いとなった。ターゲットをRoboCupサッカーシミュレーションに置く。「チーム数も少なく、頑張れば上位に食い込める」との読みがズバリ的中、2000年のRoboCupジャパンで優勝するなど実績を上げた。

 RoboCupにはその後、災害救助活動を行うロボット開発を想定したRoboCupレスキュー部門が設けられた。ここに先のシミュレーション技術が生き、開発した災害対応行動エージェント(消防、救急、道路啓開)プログラムがいきなり世界トップの座に就く。この成果が新世紀重点研究創世プラン「リサーチ・レボリューション2002」の1つ、IT防災研究で開花する。その売りの1つが震災総合シミュレーションシステムで、地震動、建物倒壊、橋梁被害、液状化、道路閉塞、火災発生・延焼などのシミュレーションのほか、災害対応行動をする多くの人間をマルチエージェントとして組み込むというシミュレーション統合を完成させた。

ソフト開発実践を通して資質を磨く

 今や、竹内教授はIT防災の専門家。「でも、研究の中核を担う院生の確保には苦労しています」と悩みを打ち明ける一方で、「来年入ってくる院生はOSやプログラミング言語に興味を持っているようで、もう一度、若いころの研究ステージに戻ろうかな」と笑った。しかし、当面の大仕事は、ITスペシャリスト育成プログラムをスムーズに実行に移すこと。情報理工実践工房では、技術創造、研究用、業務用、科学的ツールなどのソフトウェア開発を通して、先導的ITスペシャリストの育成を目指すが、このために、教員と学生、企業技術者それぞれの知恵を融合して展開するフレキシブルなパラダイムを構築中である。

 わが国では、IT分野における人材、とりわけ高度な専門性を有するソフトウェア技術者不足が大きな課題になっている。真の国際競争力の維持、強化のためには、単なる“即戦力”ではない、それを超えた創造的なIT人材が不可欠で、この要求に応えるのが今回のプロジェクトだ。2足の草鞋どころか、何足も履くことになるので、「研究は楽しくやりたい」という竹内教授のモットーには、なるほどと納得がいく。今年、還暦を迎えた。「この育成プログラムが私の研究生活の総仕上げになるでしょう。優れた若手人材をこの手で送り出せる幸せを実感したい」と細めた目の奥に、「勝算あり」の4文字が映し出されていた…。

竹内研究室



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